鎌先温泉時音の宿湯主一條（３）

このお宿のメインイベント、夕食です。まずはレトロな本館へと向かいます。１８：３０にお願いしておくと、部屋までお迎えが。今回食事した部屋は前回の裏側に位置する廊下沿い。奥から２番目のお部屋でした。１０１だったかな？

一応食事処の様子を。上は朝食時の様子ですが。以下は、とりあえず夕食から。

まずは上のようなセット。食前酒ではなくてフランボワーズのフルーツビネガー、つまりお酢。咽せないようにちょっとずつ注意して。

くみ上げ湯葉は定番ですね。着席と同時に説明があって、すぐに点火
表面が固まってきたら、ささっと掬ってわさび醤油で。


お酒は最初に黒ビールを。妻は最初から日本酒ということで、大沼酒造の乾坤一を。従業員さんもこの蔵元をご存じだったようです。そんなことでも話が弾む…そしてなんといっても感動モンの前菜。

真ん中にあるのが、春の摘み草和え（根三葉・行者にんにく・かたくり・蛤・糸がき）というもの。山菜のほろ苦さがしっかり感じられる絶品こういうの、大好きです。左下が、わらびのお浸し、おくらとろろ掛け。前菜では、これが一番普通かな。もちろんこれでも十二分に美味しいのですが。時計回りにその上が、養老豆腐・岩茸・蟹・うこぎ加減酢というもの。うこぎの独特の味わいが全体を引き締めていて、山菜好きにはやはりたまらないお味。その右隣が、しどけ絹酢和え。しどけは大好物。酢加減もばっちりで、しどけらしさを消していません。バランスがホントいい逸品です。そして右下が、蛍烏賊のマリネ・うるい。蛍烏賊もうるいもこれまた好物で、組み合わせもばっちり。じつはこれを最初にいただいたのですが、夫婦２人でその美味しさに感動「一條はやっぱりイイっ」てことになりました。続いて金目鯛と帆立の炙りカルパッチョ仕立て、です。

最初からテーブルにあったドレッシングをかけて完成。単なるお造りは出さず、一條はいつも一手間ですね。そしてそれゆえに上品なお料理となっているので、思わず唸っちゃいます。さらに運ばれてくるのが蓋物。

筍饅頭、姫皮・独活白煮・車海老・白魚・そら豆。食感が楽しめる配置になっていて、もちろん筍の入った饅頭そのものが美味しい。こうしたお料理を楽しむ間に、焼き物としゃぶしゃぶの素材を選択します。ウチは２人とも迷うことなく、焼き物は牛、しゃぶしゃぶは豚、に。肉々セットといった感じです。あまりにきっぱりと言い切ったので、従業員さんにも笑われてしまいました。どんな肉好きに見えたんだろう…？

で、焼き物は仙台牛ステーキ。牛肉なんてウチでは食べないので、こういうときだけのお楽しみ。ちょっとでいいので、満足な分量で美味しくいただきました。お皿に用意された塩か柚子胡椒のおろし和えかを好みでつけてとのこと。付け合わせの野菜も美味しいです。しばらくするとくみ上げ湯葉を終えた豆乳鍋に出汁が加えられて、しゃぶしゃぶの用意。

地元白石三沢屋で飼育したブランド宮城野ポークなるものが燦然と鎮座なさり、ゴマだれにつけていただくことに。


ゴマだれがなかなか美味しくて、最後は豆乳をゴマだれに注ぎ込んで、飲んでしまいました。これも意外とオススメかも。

最後は筍ごはん、ワタリガニのみそ汁で〆。もちろんどちらも味付けはバッチリ危惧していたほどには満腹にならず、なんとかごはんにまで辿り着きました。結局完食しました。

デザートとして、クレームダンジュとマスクメロンのジェラードアングレーズソースを、日本茶でまったりいただき、晩餐は終了スポンジ系とか生クリームたっぷり系ではない、こういうデザートは好み。部屋に戻ると、夜の帳にひっそりと佇む本館が、食事部屋のほのかな灯りで幻想的に照らし出されていました。

このあと、薬湯でぼ～っ。そして就寝。翌朝は８：３０にお願いしておいたら、またもお出迎えあり。食事部屋は夕食と同じです。

朝から豪華だなぁ～一條の魅力は、この朝食の美味しさにもあるように思います。着席しても、すぐには食べられず。ごはん待ちです。笹かまぼこは、焼くか否か聞かれて、とりあえず私は焼いてみることに。金網の下の固形燃料に火がともります。

笹かまと一緒のお皿にはふき味噌、その右がぜんまい煮浸し、左下はしそ巻、その右が菜の花のお浸し、です。梅干しは地元おばあちゃんの手作りでしっかり酸っぱい朝食にもお品書きがあるので、料理名がはっきりとわかるのです。

そこにごはんとともに、おみそ汁、焼きたての塩鮭、煮物、手作り出来立て豆腐が追加されます。とっても豪華版の朝食になりました



蔵王高原生野菜サラダには、ドレッシングをかけて。白石温麺もアツアツでうまうま。手作り豆腐には薬味と醤油をかけて、これもじつに美味しい。豆腐は卓上で作るよりも、出来立てを運んでくれる方がうれしいです。煮物は仙台麩と豚肉の煮物。豚肉はどこ？って感じですが、出汁の染みた大きな麩の食感はとっても豚肉なんて感じなくても十二分です。塩鮭も美味しい。どれもごはんがすすみます。

食後に電話を掛けると、ヨーグルトとコーヒーが運ばれて、これを味わいながら、またしてもまったり。でもチェックアウトは１１：００だから、このあと朝風呂にもう一度入っても、まだまだ余裕。そんな温泉宿ならではのゆるやかに流れる時間を満喫して、湯主一條での極上の滞在を思い出に刻み込むのでした…やっぱり、いつかまた行きたいです

コメント 20

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仙台牛ステーキ以外はどんな味、食感なのか想像つかないんですけど。特に前菜。（＾＾；
by ジャンキー (2010-06-22 06:22) 

再訪は平日狙いで、と思っています。
とは言え、いつになるか分からないのですが＾＾；　

いつ宿泊しても期待を裏切らない料理と接客と薬湯でしょうか＾＾?

by zun (2010-06-22 09:27) 

うーん、本当に美味しいですよね、一條は・・・東北は行きたいトコがいっぱいあるから、なかなか３度目はかなわない気がしてましたけど、やっぱりまた一條のお料理食べに行きたい！っていう気持ちになっちゃいました(^^)
ジャンキーさんも、気に入る宿のような気がします、とにかく初回は、前菜に感動しちゃうと思うんですよ～。説明になってないですけどね（笑）

ほんのちょっと見られるくらい気にしないから、お風呂男女交替制にして欲しいんですよね～！

by めりな (2010-06-22 17:23) 

ジャンキーさん
すいません。私の表現力のなさですね…
でも山菜にはそれぞれ独自の美味しさがあるのですが、それがそれぞれ消されることなく、他の素材と調和してうまうまだった…ということが言いたかったのですが…。
たしかに表現力不足は否めず…＾＾；

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-22 21:25) 

お料理・・かなりのインパクトです。
しかも、ｚｕｎさん、めりなさんとも、このお料理を味わってらっしゃる方も絶賛してる・・・
う～ん・・東北のお気に入り旅館は県別にかなりの数になっちゃってますが
無理やりにでも押し込めます(^_-)-☆
by カミ (2010-06-22 21:27) 

ＺＵＮさま
ウチも再訪は平日狙いです。そうすればじゃらんのポイント割引が有効なので、できればそうしたいです。ただ次にこの界隈に行くと、たぶんＺＵＮさまの追っかけとなる大忠にしようか…とも思うので、すぐに再訪できるかは、ウチでも見通しはききません。

ＺＵＮさまのご指摘の通り、ここは料理、接客、薬湯がきわめて魅力的なので、次にまた泊まりたくなるお宿だとしみじみです。ウチは２度とも同じ季節の訪問しているので、季節によってどうお料理が変わるのか、そういうこともホントは楽しみに泊まってみたいお宿です。

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-22 21:27) 

めりなさん
一條の近くには、いろんなお宿があるので、ウチも再訪の機会はいつ訪れるのか…という懸念はあるのですが、一條は、やはり料理の美味しい、快適なお宿だと再確認できました。このときの旅は、一條と湯神に再訪＝安心して美味しいお宿に泊まるというプランだったので、それは十二分に達成できました。

今回も前回も、一番感動したのは前菜でした。前菜の上質なレベルが、まずは心に染みるという感じの食事ですね。ジャンキーさんはお宿でのドラマを求めるから、どういう評価になるかはわかりませんが、接客を楽しんでお料理を堪能すれば、ジャンキーにもお気に入りのお宿になるはずだけどな～とは思います。

お風呂。そういう女性のご希望はホントよくわかります。でも私の悪魔のような本心では…永遠に男湯はあのままで…時間によって小さなお風呂になるのは嫌…そうしたらお宿の魅力が半減する…とつぶやく声が聞こえます…ごめんなさい…

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-22 21:32) 

カミさん
あ。いろいろなお返事を書いている途中で。
書き込みありがとうございます。長野からだとなかなか東北遠征は大変だと思いますし、せっかく東北遠征するなら、ここ、あそこ、とお宿を厳正にお選びなさるのもよくわかります。そういうなかでここが候補になるかどうかはわかりませんが、お料理は地の食材を巧に利用した非常に上質なものだと思います。
あとはあの食事処。あの雰囲気だけで、かなりやられてしまいます。この界隈はホントにお宿がひしめく激戦区だと思うので、ウチも再訪前に他に行くべき宿（ＺＵＮさまご推奨の大忠とか…）もあるし…などと考えると、すぐに再訪かどうかはわかりませんが、ここはホントに快適で癒されるお宿だと思います。ゆっくりたっぷりお宿の良さを感じることができる、でも値段はかなりリーズナブルな、そんなお宿だとオススメしておきます＾＾
by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-22 21:36) 

そうそう、湯主一條の前菜は東北ＮＯ．１間違いなしっ♪
僕らも湯主一條の前菜命です(~o~)
できれば前菜の小鉢５品を５パターンくらい出してもらって食事で〆でもいいくらいっ（笑）。
毎回足を運ぶ度に違うのが出てきて、しかも毎回超うまいんですよね～これがっ♪
佐々木料理長、風情ある本館を個室食事処に改装してからパァ～っと一気に才能が開花したのだとか。
佐々木料理長が手がける洋食の朝食も食べてみたいですよね、次回訪問の際は洋食をセレクトしてみようかと☆


by りんく (2010-06-22 23:36) 

ふーむ、そんなに、前菜が素晴らしいんですか。訪問された皆さんが絶賛ですもんね～。これはお食事だけを目当てにしても間違いなさそうですね。

それと、私、この本館の夜景が好きなんです。zunさんのレポにも夜の本館の画像が載っていて、とても印象的でした。
文面そのままに受けとれば、夕食後に撮られたのでしょうか。宴のあとの満足と、けだるさと、ほんの少し頭をもたげる郷愁…あ～、また己の妄想に走ってしまった(-_-;)
でも、この夜景を生で見るために…それだけの為に「一條」に行くというのも、わたし的にはアリなんです^^;
by ふくらすずめ (2010-06-23 00:12) 

あっ、そうそう。
ダンカミさんのところで、「豆漬」の件、しかと拝見しました。ずーっと下になっちゃいましたが、お返事もさせていただきました。いろいろとありがとうございましたm(__)m

by ふくらすずめ (2010-06-23 00:34) 

良かった！ここでウチの掲示板の話題を出してくださって・・
今、急いで家に帰って、次ページになっちゃったけど（すいません）
読ませていただきました。
人の掲示板で気が付くんじゃなくて、自分の掲示板のチェックをシッカリしましょうね(~_~;)

レスもしました。
ひそひそ話みたいになっちゃいましたが、ま、いいか（笑）
by カミ (2010-06-23 14:42) 

一條のお料理、懐かしく拝見しました。朝の蔵王ヨーグルト、ほんとにおいしかったな～と。ここは、アクセスもいいから今度両親と来ようかな～。

鹿児島から帰宅しましたよ、大雨だったけどね。土曜は到着してからは曇りになり、人吉では青空も、でも超蒸し暑い～。不快指数100だよ、マジで。で、人吉のお湯、汗が吹き出る吹き出る、、ラムネ湯の華まき温泉、新温泉、鶴亀温泉とレトロな公衆浴場へ入ってきましたよ。

「紫尾庵」は、超琴線に触れました、というのも、お湯がなんとも最高なんです。PH9.4なんですが、あっさり系のぬるスベ系と言いましょうか、、そして、緑色のお湯、アグネスさんにはほんとにいいところを紹介してもらいました。もう、来年も行く気満々。だって、土曜で部屋つき露天でヴィラ形式16000円ですよ～。これ、関東なら2本は超えるでしょう、、みたいな。
あとで明細見て驚いたのですが、ビンビール税込み500円。ありえない～みたいな。あ、日本酒は見てこなかった、、（笑）

夕食は、私達にはちょうどいいけど、大食漢の人には少ないかな。おいしかったですよ、品もいいし。ずっとこのままのコスパでいってほしいな～。
ただ、食事処は、和紙のカーテンの仕切りなのでお隣の会話丸聞こえなので、プライバシーを重視する人は時間帯をずらしたほうがいいかな。これは、すみれもそうだったけどね。鹿児島はSNAで飛べば早割りで1万弱なので、お得だと思いますよ～。来年も行く気満々です。
by ろと (2010-06-23 18:27) 

いやいや、別にそういう意味では。私自身の味覚不足ですよ。
でも前菜は大事。これから出て来るメインに向けてね。
日頃の食卓もそうありたいものです。なぁジャン妻殿。
by ジャンキー (2010-06-23 23:37) 

りんくさん
こんばんは☆
＞僕らも湯主一條の前菜命です
やっぱり前菜ですよね～あそこの究極のおいしさは。
ウチもあの前菜を５パターンくらいだしてもらって、それでごはんでも、もちろんＯＫです。というより、そうされたら、完全にＫＯされます。
たしかにゆばや豆乳しゃぶしゃぶも美味ではありますが、前菜には敵わないと思います。あの独特の食事処の雰囲気で、前菜に手を付けながら過ごす時間は、一條ならではの楽しみだと思います。
あの料理長の洋食ですか。洋食にあんまり興味のない私でも、やはり興味が湧きますね、一條だと。

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-25 21:55) 

ふくらすずめさん
こんばんは。そうそう、前菜がホントすばらしいのです。２回とも前菜にとにかく感動した、というところです。それが大きな理由で今回再訪したといってもいいかもしれません。食事は、さらに本館のあの雰囲気が加わるので、この上ない極上の時間を過ごせると思います。部屋も、一番安くても快適ですよ、とっても。
部屋から撮った本館の写真は、言葉通り夕食直後です。いくつかの部屋では食事が続き、でも多くの部屋では終わっていた、そんなタイミングです。一番安い和室こそ、じつは本館が望めるお部屋になっているので、そういう点でも一番安い部屋で何も不満はないのです。

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-25 21:56) 

しまった。
忘れた…

ふくらすずめさん
追加です。
ダンカミさんトコの書き込み、私も拝見しました。カブ○をよく見ていたのはホントです。最近はなかなか時間がとれず、ほとんど見に行くことができませんが、それでも今年は国立劇場と改築中の建物に１回ずつ見に行ってます。私が知る古き牧歌的なチケットの取り方とは異なり、いまやチケットをとるのがホント大変。そして私自身が、学生時代と比較したら（当然のことながら）時間に自由が利かないので、なかなか見ることができないのです。

なお、豆漬は酸っぱくなるとマズイと思います。やっぱり。

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-25 21:58) 

カミさん
すいません、お手数をおかけして。

あの追加書き込みは、ふくらすずめさんにご覧いただくだけで十分ですから。お気になさらず。あれだけ頻繁に書き込みがあると、なかなか管理も大変だと思いますので、忘れ去られていっても一向に気にしませんから。

でもたしかにひそひそ話みたいでしたね…

それと、私もビタミンの元気づけに癒された１人です＾＾本当にありがとうございます。

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-25 22:00) 

ろとさん
一條は朝食ともに、やはり食事が何より充実してますよね。あと個人的には薬湯が非常に好みなので、部屋・食事処・薬湯だけを往来していれば、大満足なのです。

紫尾庵、りんくさんトコで拝見しました。そのあとちょっと検索。改めていろいろとみて、その良さにぐぐっと惹かれました。どうもここは私の琴線にもふれそうな感じ。１６０００円で部屋に掛け流しのお風呂がつくとは、そんな値段設定は九州か北海道でしたありえないのではないかと、驚愕です。お酒の値段も安そうだし。

鹿児島は私は未踏の地（妻は行ったことがある土地）なので、右も左もわからない（土地勘が全くない）のですが、架空の（妄想的な）鹿児島旅行計画を練って、いつか実現させるときに、こちらのお宿を入れる方向で考えたいなぁと思います。

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-25 22:01) 

ジャンキーさん
あれ？
いやいや私の表現不足でしょう…
でもそういえばジャンキーさんは、珍味とかはあまりお好きでなかったような…？山菜は種類によっては珍味的だったり、あるいはかなりクセがあったりしますけど、どれもそのままではなくて、ちょっとした手間がここのお料理にはあって、それ故に好感度が高まるのです。妻は、「しどけ」という山菜そのものは嫌いのようですが、ここの前菜だと気にならずに食べられるのです。量も少ないですし…

ジャン妻さんにそういう夕食を求める…いいのでしょうか、こんなトコに書き込んでも？

by 遠霞（とおがすみ） (2010-06-25 22:05)